電気工事士として働くなか、一つの目標として設定されるのが「独立」かと思います。
社員として働くのも悪くはないけれど、人間関係のわずらわしさや年功序列でなかなか上がらない給料にうんざり……という声は建設業界に関わらず、多くの業界で上がっています。一方で、自分の力を試したいという前向きな理由で独立に舵を切る方も少なくありません。
たしかに、自由に仕事の裁量を決められるのは魅力的です。頑張れば同年代よりも高い年収を得たり、平日に休日をつくってしまうこともできるでしょう。
しかし、独立するということは大きな責任を伴ううえ、会社が代わりに行っていた業務をすべて自身でこなさなければならなくなる負の要素もあります。
今回は電気工事士が独立するまでに必要なことや、続けていくためのコツなどをご紹介したいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
■独立までにすること
電気工事士として身を立てるには、やや長い助走が必要です。
裸一貫の状態から電気工事士を名乗るのは無謀なので、下積みを考慮しましょう。
・経験を積み、資格を取得する
独立開業する際、「登録電気工事業者」の登録を各都道府県の知事に申請しますが、その際の登録にあわせて「主任電気工事士」を置くことが義務付けられています。
主任電気工事士は工事に直接出向く以外に、一般用電気工事の作業の管理なども行う役割があり、営業所には必ず配置しなければならず、一人親方も例外ではありません。
この主任電気工事士の登録には、以下の①②どちらかの書類を用意します。
① 第一種電気工事士免状の写し(講習受講記録も含む)
② 第二種電気工事士免状の写し
主任電気工事士等実務経験証明書(3年以上の実務経験)
(引用元:大阪府「電気工事業新規登録の申請」)
第一種電気工事士であれば免許一つで開業が可能ですが、第二種電気工事士は免許のほかに3年の実務経験がなければ開業できません。
そのため、独立する前にいずれかの免許取得と最低でも3年の実務経験を積むようにしましょう。
とくに独立後は勉強するための時間を取りづらく、第二種を取っていても「第一種を会社員時代に取っておけばよかった」という先輩方の声が尽きません。
令和3年上半期の試験では、第二種の合格率は筆記60.4%・技能74.2%で、令和3年の第一種は筆記53.5%・技能67.0%でした。
筆記と技能の両方を突破しなければなりませんが、ストレートで合格できる確率は第二種だと約44%、第一種では約35%ほどでしょう。
ちなみにどちらも筆記試験のみ合格だと次回の試験で筆記が免除されます。
・開業資金を貯める
今までは会社の所有する道具や車、倉庫を使用していましたが、独立すればそれらをまかなったり、軌道に乗るまでの活動費・生活費などを確保しておかなければなりません。
「これくらい必要」という明確な金額こそありませんが、工事に困らない環境を整えられ、最低1年無収入が続いても耐えられるくらいの資金を用意しておきましょう。
単身世帯の場合、家賃を除いた生活費の平均は13万2,813円とされているので、1年で約160万円かかります。100万円単位の資金は考慮しましょう。
いっしょに暮らすパートナーが働いているなら、生活資金の分担をお願いするのも一つの手かもしれません。
・人脈を広げる
仕事を獲得するにあたって大事な要素となるのが人脈です。
独立して最初のうちは、どの業界でも勤めていた会社の下請けとして働くケースが多く、関係が良好な状態を保っておくことが前提になります。そのため、会社に勤めている間は社内外問わず、人間関係の構築に注力することをオススメします。
「もし仕事を頼む側なら、どのような人物に頼むだろう?」と自身を顧みるのもいいでしょう。
■開業するときはなにをすれば?
準備が整ったら、何をすればいいのでしょうか。
・登録電気工事業者の申請
住んでいる場所の都道府県知事に登録電気工事業者の申請を行います。
前述した主任電気工事士についてもいっしょに届け出ます。
ただ、用意する書類や記入内容が複雑なため、忙しかったり確実さを求めたりするなら行政書士にお任せするのもいいでしょう。その際は別途依頼費がかかりますが、登録のみなら手数料として2万2,000円がかかります。
・商工会の開いている経理の講習を受ける
個人事業主になると、会計処理などの業務もこなさなければなりません。
こと確定申告に関しては、青色申告にすることで節税にはなりますが、その分内容が複雑になります。
青色申告会に入る、商工会の開く講習を受けるなどして、経理を学びましょう。
また費用は掛かりますが、税理士に確定申告を丸投げすることもできるので、苦手な人や経理を手伝える人がいないなら最終手段として依頼しましょう。
ちなみに確定申告時期の2~3月の税務署は混んでいますが、夏場などは空いているので、分からないことがあれば閑散期に質問するといいかもしれません。
・商売道具をそろえる
事務所まで用意する必要はありませんが、最低限の道具、車、倉庫がないと厳しいです。
電材や道具はかさばることから、バンやワゴンなどの荷物をたくさん運べる車種でないと厳しいですし、倉庫も拠点として重要になるでしょう。
もちろん車はリースできますし、探せば倉庫も安く契約できるかもしれません。
また、盲点となりやすい点として防犯があります。知人の独立した電気工事士は倉庫の管理がややずさんだったことから、夜中に倉庫を荒らされ道具を盗まれたことが。
個人事業主としては死活問題なので、こちらに関しても最低限の注意を払うことと設備投資をオススメします。
■続けていくには?
独立したら、どのような点に気を付けて続ければいいのでしょうか。
・営業して仕事を得る
仕事を獲得するには営業が欠かせません。
大手企業と協力関係をつくったり、一般の人向けにエアコン取付けなどのサービスを案内したり、受注につながるようさまざまな働きかけが今後を左右するでしょう。
現在はホームページを開設する、SNSで発信する、マッチングサービスに登録するなど、昔ではできなかったアプローチがインターネットを通して多くできます。
法人と契約を結べば安定した収入が見込めますので、電気工事士を募集していないかチェックしてみましょう。
・効率化する
独立すると、電気工事以外の業務も行わなければならないので、会社員のときよりも非常に忙しくなります。
また基本的に立ち仕事なので、若いうちなら体力に自信があっても、独立するころには昔に比べて無理が効かない状態になっていることも。
そのため、いかに業務効率を高めるか、限りある体力をいかに消耗しないかを考えて立ち回る必要があるでしょう。
経理ではエクセルを使いこなしたり、工事現場では必要な道具をその場にそろえて、車や資材置き場の往復を減らすなどの工夫をしましょう。
・健康を維持する
独立すると、身体が資本になります。
もし、大事な仕事が舞い込んだとしても、体調を崩して逃してしまっては元も子もありません。
会社員時代なら有給として、休んでいても給料が発生したかと思いますが、個人事業主は無収入です。
現場によっては長時間労働や休みのない日が続くこともありますが、日頃から健康に気遣い、健康診断や人間ドックは忘れずに受けることを意識しましょう。
健康でいることが医療費の削減につながります。
■まとめ
電気工事士として独立すると、さまざまな面で試されることがありますが、成功すれば多くの収入を得ることも夢ではないでしょう。
武技電工は泉大津市を中心に近畿・東海エリアで各種電気工事を承っている会社です。
現在、経験や資格の有無は問わず、広く電気工事士を募集しております。
マンツーマンでの指導や、働きながら資格の取得を目指せる環境がそろっておりますので、電気に関する知識がなくても問題ありません。
募集要項を閲覧のうえ、ぜひお気軽にご応募ください。
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